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まっこリ〜ナのカフェボンボン
大の本好き&現役編集者の「まっこり〜ナ」さんが、Hon-Cafeで、特別連載をしてくださることになりました! 開くと幸せな気持ちになれる、ラブパワーあふれる本を、Cafeのメニューになぞらえて毎月セレクトしてくださいますよー。更新は毎月第3火曜日。どうぞお見逃しなく!
バビントン・ティールームの思い出

肌寒い日が続くと、紅茶が飲みたくなります。ティーポットやカップが触れ合うカチャカチャという心休まる音に、あるお店の記憶が急によみがえってきました。かつて伊勢丹新宿店にあった「バビントン・ティールーム」。スコーンや甘いお菓子、オムレツのにおい、紅茶の香りがたちこめる店内で周囲のさざめきに包まれていると、閉ざされた親密な空間の居心地よさを実感できたものでした。テーブルの籐の敷物やフェルトの葉っぱのポットつかみの素朴さとジノリのカップの明るい色にはどこかアジア的な雰囲気があって、それも魅力のひとつだったと思います。

友人とのおしゃべりに、母との買い物の途中で、仕事の合間の短い時間に……。それはもうしょっちゅう通っていたバビントン。新宿店、相模原店ともに閉店になってしまったのは何年も前のことです。バビントンに代わるお気に入りの店はいまだになく、懐かしい記憶だけがティールームのざわめきや甘い香りとともに残っています。きっといつかローマの本店を訪れてみたいと思っています。

そんなわけで、今月の月替わりメニューは、アールグレイ。上品な味わいに秘められた複雑な香り。ページをめくるたびさまざまな香りが立ちこめる、濃厚な物語をご紹介します。

まっこリ〜ナイメージ
まっこリ〜ナ Profile

編集者。出版社勤務を経て現在フリーランス。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。趣味は草花園芸、透明な海でのスノーケリング、ヨガ。夢は沖縄に移住してマンゴーの木を植えて暮らすこと。
今月は……「叙情溢れる物語。異国的な香りたちこめるアールグレイのような本」


価格:¥2,310
イラン系英国人作家が描く、母と娘の物語

サフラン・キッチン
著者:ヤスミン・クラウザー,小竹 由美子 / 出版社:新潮社


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冒頭で描かれるイラン北東部にある「小さな奇跡」という意味を持つ村。ケシの花と石の女の像は物語の象徴でもある。イランで生まれロンドンに暮らしてきたマリアムにとって、この村は特別な思いを抱いている場所。マリアムは、父親に勘当され英国に送られたという過去をもつが、英国人の青年と結婚し娘のサラと3人で幸せに暮らしてきたはずだった。しかし、娘とのある事件がもとで、故郷のイランへと旅出ってしまう。生き別れになった恋人への愛、父への思い、いまはもうこの世にはいない人たちへの懐かしさが、マリアムを一気にとらえ、夫や娘との絆をも引き裂こうとする。

マリアムの物語がドラマティックに進行する一方で、娘のサラの視点で、マリアムやロンドンに残された父、夫ジュリアンについて語られる。サラの自宅のキッチンや散歩の途中で交わされるサラとジュリアンの会話やしぐさに、ふたりの愛情の深さ、その確かさが伝わって心が和むようだった。この物語に流れるあたたかさは、キッチンを彩るサフランやナツメグ、シナモンにもきっと関係があると思う。とくにイラン料理に欠かせないサフランは、少女時代のマリアムの幸せな思い出の色そのものなのだろう。

イラン系英国人のヤスミン・クラウザーの横顔の写真は美しく、物語を読んでいる間ずっと主人公マリアムのイメージと重なっていた。新しい作家を知り、その作品に喜びを感じることができて嬉しい。


価格:¥1,995
せつなく閉じた世界が開き、心に届く

私自身の見えない徴
著者:エイミー ベンダー,Aimee Bender,管 啓次郎 / 出版社:角川書店


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物語はひとつの映画を見ているようだった。小さな町の明るい陽光の下で、主人公のモナが佇んだり影になったり子どもと手をつないだりする。モナが輝くのを見たくて息をつめて映像を追いかけている感じがした。若い頃のロザンナ・アークェットを思い浮かべて。

10歳の誕生日にお父さんが原因不明の病気になってから、モナは自分の世界を閉じた。走ることもピアノも映画もデザートも止めてしまった。誰よりも速く駆け抜けることができたのに。ボーイフレンドと愛し合うことも止めた。止められなかったのは数学と木をノックすること。モナは心を落ち着けるために木をノックし続ける。

20歳になったモナは、町の小学校で数学を教えることになった。個性的な子どもたちに翻弄されながらの慌ただしい日々が始まった。病気の母親との別れを予感する生徒のリサや理科の先生との出会いによって、長い間かたく閉じていたドアをほんの少しずつ開き始める。初めは覗き穴から見るだけ、その次はチェーンをかけたままそっとドアを開けて。そんなふうに慎重に。理科の先生をはじめ隣人のジョーンズさん、お父さんなど登場人物がとても魅力的だ。物語の終わりには、モナがこの人たちとしっかりと手をつないでいるような気がした。

以前、短編集『燃えるスカートの少女』について書いた。著者初の長編は、生まれたての世界が目の前に開けるような瑞々しさ。ぜひ手にとってみてください。
・甘いココアな本  「甘いココアな本」一覧へ >>


価格:
¥725
あの人の幸せを願う言葉をのせて送りたい

カムズのクリスマスカード
著者:寺田 順三 / 出版社:新風舎


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夏が終わりきらない頃から、町のどこもかしこもハロウィーングッズで溢れているのに驚く。そのあとはすぐにクリスマスシーズンがやってくる。クリスマスカードを出すならば早めに選んでおきたい。『カムズのクリスマスカード』は大人気のイラストレーター・寺田順三氏の描きおろしのクリスマスカード集だ。トナカイやブタ、ペンギンなどの動物が登場しのどかな雰囲気をかもし出している。

このカードのどれかがポストに届いたらきっと嬉しい。きらびやかでない少しくすんだ色合いが、静かで穏やかな冬の日を感じさせる。そんな日々を過ごせるようにと願ってくれる人がいることを一枚のカードが思い出せてくれる。


・レモン水な本  「レモン水な本」一覧へ >>


価格:
¥1,650
心にいつまでも残る、カポーティの名作

クリスマスの思い出
著者:トルーマン カポーティ,村上 春樹,村上 春樹,山本 容子 / 出版社:文藝春秋


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映画『カポーティ』が公開されて何かと話題のトルーマン・カポーティ。彼の作品はどれも私には特別なものだけれど、特に繰り返し読むのがこの作品。村上春樹氏の訳に山本容子氏の銅版画が20点も収められた贅沢な本だ。以前ご紹介した『誕生日の子どもたち』にも収められている。

古い田舎家で、7歳のぼくと60を過ぎたいとこの女性が過ごした、最後のクリスマスの物語だ。秋が深まる今ごろの季節に読むのがしっくりくる。挿絵の銅版画はきっととても楽しんで描かれたのだと思う。ぼくも犬も小さな家もみんな踊っているようだ。
カポーティの自伝的な要素の強い作品でもある。


・カフェオレな本  「カフェオレな本」一覧へ >>


価格:
¥998
ハンガリーが生んだ、キュートな絵本シリーズ

ブルンミのピクニック
著者:Mar´ek Veronika,羽仁 協子,マレーク ベロニカ / 出版社:風濤社


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アンニパンニとブルンミのシリーズの一冊。マレーク・ベロニカの本は本当に愛らしい。黒髪のアンニパンニは日本人の女の子のようでもあるので、とても親しみが持てる。今回は、家の窓から遠くに見える山のてっぺんを目指して、ふたりがピクニックに出かけるお話。「ピクニック」という言葉の響きは、わくわくした気持ちと直結している。表紙の絵を見て、どこの国もピクニックは同じだなあと思いました。お弁当がパンやチーズなのがちょっと外国的ですが、基本は同じ。窓の外の赤いゼラニウム、リュックサックのてんとう虫の模様など、心にぴっとくるものがいろいろです。

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BackNumber
2012年05月−「謎めいて。芳醇に香るヴィンテージ・ワインのような本」
2012年04月−「自然とともに。白い花のエルダーフラワー・ジュースのような本 」
2012年03月−「散歩日和。春を探しに焼きたてのマフィンをかごに詰めて」
2012年02月−「いにしえの都。若草が香る鶯もちのような本」
2012年01月−「木の話。森で味わう深煎りのコーヒーのような本」
2011年12月−「本の迷宮。エレガントなカフェ・ロマーノのような本」
2011年11月−「空を見上げて。夕焼け色のカンパリ・オレンジのような本」
2011年10月−「キュートな絵本。甘いホット・ファッジ・サンデーのときめき」
2011年09月−「日本のふるさとへ。素朴でやさしい味わいの栗もちのような本」
2011年08月−「今日もふらりと。公園のベンチに座ってソフトクリームでひと休み」
2011年07月−「永遠の夏。昼下がりのライチジュースのような本」
2011年06月−「電車日和。駅のスタンドのコーヒーが旅の始まり」
2011年05月−「かぐわしい夏。絞り立てのマンゴージュースのような本」
2011年04月−「大切な言葉。深い余韻を残すエスプレッソマキアートのような本」
2011年03月−「おみせ大好き。縁日の綿あめのようなノスタルジックな本」
2011年02月−「日本の粋。和の心あふれる桜もちのような本」
2011年01月−「見る喜びに満ちて。心浮き立つシャンパン・サングリアのような本」
2010年12月−「思いを届けて。遥かな国の便りを待ちながらクリスマス・ティーを」
2010年11月−「ラブリー・ガール。甘い夢をのせたカップケーキのような本」
2010年10月−「緑あふれる本。庭の木陰でクリームティーを楽しみながら」
2010年09月−「夜のファンタジー。秋の匂いがするメープルミルクティーのような本」
2010年08月−「少年たちの物語。甘酸っぱいミックスベリーティーのような本」
2010年07月−「見果てぬ夢。眠れない夜にのむ白ビールのような本」
2010年06月−「島のごちそう。夏の午後のパインソルベのような本」
2010年05月−「世界は広い。異国の風が香るミント・ジュレップのような本」
2010年04月−「道を極める本。傍らには気を静めるオレンジピール・ティーを」
2010年03月−「ビバ!ミュージック。泡がきらめくハイボールのような本」
2010年02月−「青春の輝き。夢がはじけるライムソーダのような本」
2010年01月−「ぼくのコレクション。フランボワーズリキュールで至福の時を」
2009年12月−「無償の愛。真っ白なスノーボールクッキーのような本」
2009年11月−「短編をよむ快楽。ビターなチョコレート・ブラウニーのような本」
2009年10月−「地図を広げて。町角でほおばるドーナツのような本」
2009年09月−「たどりつく場所。運命を占うコーヒーのような本」
2009年08月−「光と影を映す版画の世界。スパイシーなチャイのような本」
2009年07月−「大人の寓話。ノスタルジアな思い出がつまったラムネのような本」
2009年06月−「都市の風景。街の灯りを映すジン・ライムのような本」
2009年05月−「小さな島の物語。夏の喜びがつまったマーマレードのような本」
2009年04月−「旅はつづく。乾いた風に混じるチコリコーヒーの匂いを感じる本」
2009年03月−「オーラが輝く人。芳香を放つリモンチェッロのような本」
2009年02月−「Boy Meets Girlのときめき。さわやかなダイキリのような本」
2009年01月−「怖い物語。マシュマロ入りのホットココアでぬくもりを」
2008年12月−「少女の夢。ふんわり甘いマドレーヌのような本」
2008年11月−「聖夜にちなんで。幸運のお菓子ミンス・パイと心温まる本を」
2008年10月−「アメリカの風景。日曜日のチョコレートサンデーのような本」
2008年09月−「水辺の物語。水の波紋のような花茶のゆらめきとともに」
2008年08月−「和を慈しむ。日本情緒あふれるみつまめのような本」
2008年07月−「毎日が夏休み。夏の思い出の味がする、いちごのかき氷のような本」
2008年06月−「自然のインスピレーション。清々しく香るオレンジティーのような本」
2008年05月−「初夏の夜の匂い。新鮮なミントの葉が香るモヒートのような本」
2008年04月−「ファンタジックな贈り物。カフェ・コレットのように深い味わいの本」
2008年03月−「豊かなイメージの喚起。太陽の光を浴びたサン・ティーのような本」
2008年02月−「愛され続けて。バターの風味豊かでスイートなマフィンのような本」
2008年01月−「懐かしい思い出の味。カラメルソースが優しく甘いプリンのような本」
2007年12月−「極上の日本文学に酔う。豊かな芳香に満ちたカルヴァドスのような本」
2007年11月−「大切な人への贈り物に。ハートを描いたカプチーノのように心温まる本」
2007年10月−「北欧から届いた便り。フィンランドの素朴なお菓子・プッラのような本」
2007年09月−「旅心を誘われて。秋の香りを運ぶお酒、ジャック・ローズのような本」
2007年08月−「ハンモックに揺られながら読む。夏の果実のシャーベットのような本」
2007年07月−「さわやかな風に吹かれて。夏の庭で飲む葡萄ジュースのような本」
2007年06月−「もし猫と話せたら。夢溢れる空想の物語はハニーミルクのように優しい」
2007年05月−「愛の言葉の響き。サングリアのように甘く、生き生きとした詩の一節を」
2007年04月−「忘れられない愛。ハート色をしたイチゴのクリームソーダになぞらえて」
2007年03月−「春を告げるレシピ。お祝いの喜びに溢れた復活祭のお菓子のような本」
2007年02月−「昔を知る喜び。傍らには沖縄伝統の真っ白な泡のブクブクー茶を」
2007年01月−「音楽への扉が開く音。それはスパークリング・ワインのコルクの音のよう」
2006年12月−「幸せの予感に満ちて。ビターな香りを運ぶココアカプチーノのような本」
2006年11月−「冬のパリへ。ベビー・シャンパンの生まれたての泡に乾杯」
2006年10月−「叙情溢れる物語。異国的な香りたちこめるアールグレイのような本」
2006年09月−「恋愛のアフォリズム。甘酸っぱさが優しいクランベリーソーダのような本」
2006年08月−「ご馳走の歓び。幸福の味がするヴィシソワーズのような本」
2006年07月−「遠い夏。思い出は懐かしいバニラ・アイスの甘さとともに」
2006年06月−「いつも一緒に。心を優しく鎮めるラベンダー・ティーのような本」
2006年05月−「緑の木陰でひと休み。泡ガラスで冷たい麦茶をどうぞ」
2006年04月−「極上の短編の味わい。それは複雑に香るフルーツ・ティーのよう」
2006年03月−「ピュアな魂の物語。かぐわしい野生の黒すぐりの果汁のような本」
2006年02月−「花の色と香りで春を先取り。心華やぐローズヒップティーのような本」
2006年01月−「日本の良きたたずまいを思う。初春の読書に気持ちも新たにお抹茶を」
2005年12月−「冬の夜の静けさ。深い感動をコーヒー・グロッグの温かさとともに」
2005年11月−「究極の美に浸る喜び。贅沢なミモザのような本」
2005年10月−「自由気ままな旅へ。異国の地で飲む一杯のカプチーノから」
2005年09月−「季節が移ろう気配。メープルプディングで秋の深まりを感じる本を」
2005年08月−「愛と絶望の炸裂。そのきらめきは色が弾けるフルーツパンチのよう」
2005年07月−「私のパラダイス。その心地よさはカフェオレフロートの冷たい舌触り」
2005年06月−「夢と奇跡を巻き起こす。ミラクルな甘さのキャラメルラテのような本」
2005年05月−「楽園の神秘に思いを馳せる。コナコーヒーの深い香りを感じながら」
2005年04月−「果汁の一滴一滴がもたらす愛と美。濃厚なざくろジュースのような本」
2005年03月−「南風が吹き、光に包まれる季節。青空の下の読書には辛口の白ワイン」
2005年02月−「心の奥の記憶が甦る。夏の日のレモネードのような本」
2005年01月−「果実の香りは最高のアロマ。泡が輝くロゼ・シャンパンのような本」
2004年11月−「心からくつろいで。さわやかな香りを運ぶジャスミン・ティー。」
2004年10月−「豊かな人生の彩り。その独特の味わいは、桂花陳酒の香りのよう」
2004年09月−「身を焦がす情熱。カフェ・マッキャートのように濃い、人生の軌跡」
2004年08月−「甘くせつない郷愁。バナナ・ジュースのやさしい記憶に身を任せて」
2004年07月−「空と海と大地に宿る命。体を潤すグアバ・ジュースのような本」
2004年05月−「柔らかく無垢な眼差し。香り高いココナッツ・カプチーノのような本」
2004年04月−「官能的なルビー色の果肉。絞り立てのブラッドオレンジを飲みほして」
2004年02月−「本を開くと溢れる愛。カルーア・ミルクで心に休息を。」
2004年01月−「一匙のジャムは心の癒し。冬の夢へ誘うロシアン・ティーのような本」
2003年12月−「濃厚な甘さとほろ苦さ。あつあつのホットチョコレートのような本」
2003年11月−「待ち遠しいクリスマス。本の傍らには聖夜の定番・エッグノッグを」
2003年10月−「どこか懐かしい蜂蜜の味。とろりと甘いハニーカフェラテのような本」
2003年09月−「見ているだけで幸せ。華やかなハイビスカス・ティーのような本。」



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