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Hon-Cafeでは、毎月スペシャルゲストをお呼びしています。
4つのテーマで、毎週1冊づつゲスト愛読の「とびきりの1冊」を教えていただきますので、どうぞお楽しみに・・・!
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■河野やえさん (建築プランナー)
今月のスペシャルゲストは、建築プランナーの河野やえさんです!
ブライダル情報誌のディレクター、ギャラリーのキュレーター等を経て、2002年、建築プランナーとして独立。昨年はイデーアールプロジェクトにおいて、古ビルの再生プロジェクト、商業空間のコンサルティング業務に取り組まれていらっしゃいました。
古いビルの新たな魅力を引き出したり、既存商品のコンサルティングをしたり…多く手がけていらっしゃるそういった種類のお仕事について、河野さんはこうおっしゃいます。 「ものも物事も、視点を少し変えただけで、比類なくかっこ良く、お洒落なものになったりする、その視点のとり方と、ものの見極めがセンスだと思うし、仕事をしていてどきどきするところなんです」。
2005年は、かっこいい女性のための不動産サイトを計画中とのこと…!今年のご活躍にも目が離せません♪
東京R不動産
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●河野さんにとって、本とはなんですか?
持て余した時間のほとんどを、読書に費やした時期もあり(テレビが映らないような田舎に住んでいたこともあったので)、実家のアルミの本棚が、積載過剰で歪んでいます。最近は、仕事上の必読書も多く、本との関係を一言では言えないけれど、混乱したときにはこの本棚の前に、帰りたいと思うんです。
●「Hon-Cafe」読者の方に向けて一言をどうぞ
同じ本を読んで、同じ様に涙を流していたとしても、その文字の連なりから想起した情景が、他人と同じってことは、厳密な意味でまずないですよね。本を開けば、想像の世界、つまり感性に個性があって当たり前、大前提として自由なんです。だから、心が動いたときの情景は、刹那のその人だけのもの。ノートを開いて、1行でもいいから書いておくことをお勧めします。 |
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3週目‥‥河野さんが心奪われたヴィジュアル本、ご紹介いただけますか…? |
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なんてきれい! この2日間で学んだのは、衝動買いしたヴィジュアルブックのコメントは、結局それに尽きてしまい、とっても難しい!ということ。 気を取り直して…。恐らく誰もが持っている、指先の遠い記憶の彼方…。 古い箪笥の引き出しに、几帳面にたたまれた、しゃっきりと冷たいあの布の本を、最後にご紹介いたします。
額装すれば、1枚の絵にもなるふろしきですが、包まれ、生地がたたみ重なった時に、図柄や色の調和がとれて、平面で見た時より輝きを増すのが、その本来の美しさだと言われています。 つまり、2次元の方形に3次元のイメージが施されている訳ですが、さらに脱帽なのは、品物を渡した瞬間、はらはらとめくられる布から、次々と鮮烈な図柄が展開するように、熟考されているということ。 言うなれば、贈りものをする「間」のデザインなのです。 その技術の鮮やかさに舌を巻くのも良し、イラストつきで解説されている「びん包み」や「すいか包み」といった包み方を、実際試してみるのも良し、見てくれ派も実用派も、きっとご満足いただけることでしょう。
ちなみに「つつましい」という日本語は、我を上手に「つつみ」隠す、心根のゆかしさを称えた、ふろしきの美とも通じる言葉なのだそう。 うーむ、まずい! わがままな私を包むふろしきはどこ? 伝統美にうっとりで背筋きりり、古都での買い巡りがいっそう楽しくなりそうな、美しくも奥深い一冊です。
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2週目‥‥寒い日におすすめの“心温まる一冊”、教えてください! |
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なな…、なんて寒い週末なのでしょう。 もう一歩も外に出ないと決めた土曜の午後、本棚からふと手に取ったこの本を、2冊目にご紹介いたします。
この本は、タイトルの通り、園芸家の12か月をひと月ずつ綴ったもので、草花の名前も数多く登場し、園芸入門書としても、十分な知識を提供してくれるものです。 とは言え、花の名前を知っている必要はありません。 この本の最大の魅力は、どんな人でも必ずや楽しめる『くすくす笑える園芸書である』ということなのですから。 登場する花たちは、すべてお姫さまのような存在。 それらの個性豊かな姫君を、美しく花開かせるため、ブラック・フロスト(東欧特有の猛烈な寒波)や真夏の豪雨と戦う、勇敢で心配性なナイト(園芸家)のお話なのです。 もちろん武器はスコップやシャベル。お付きの兵士は、にょろにょろ蛇のようなわがままホースや、重くて鈍臭い芝刈り機なのですが。 第二次世界大戦の前夜とも言える険しい時代、ジャーナリストでもあったチャペックが、なぜまあこんなのんびりとした小説を書いたのか。 冷たい北風とスコップで戦う、ユーモラスなナイトの物語。 兄で画家のヨゼフ・チャペックが描いた、愛らしくコケティッシュな挿絵も加わって、思わずふふふっと笑ってしまう、そして少しだけ考えさせられる、やあ気が付くと花の苗を買ってしまった!? こんな寒い日に読んでいただきたい、心温まる大人の絵本です。
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1週目‥‥河野さんおすすめの、“台所に立つ気持ちがすこし変わる本”…って? |
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あけましておめでとうございます。 いよいよ寒くなってきて、野菜を洗う冷たい水に「ひぇぇー」 思わず手を引っ込めてしまうようなこの季節、台所という空間と、そこに立つ自分が、少しだけ愛おしくなるような本を、1冊目にご紹介します。
病床の主人公、佐吉は、かつて料理人だったこともあり、妻のたてる台所のおとに、耳を澄まして暮らしています。 水が飛び出すしゃあっという音、くわいを揚げるさわさわという音…。 この本には、台所のあらゆる音が、潔い擬音語で表現されているのですが、さらに興味深いのは、主人公が愛した3人の女性の気性までもが、台所のおとで描かれているところ。
いつもなにかに、欠けるなら欠けても構うもんか、という捨鉢な音をたてさせる、愚鈍な最初の妻。 ものを指ではじく音と、包丁を突き立てた(!)とっ、という音を残して去った、器用で華やかな二番目の妻。 そして、病床の夫を気遣う3番目の妻。 台所のおとが言葉を超えて、いたわりや、優しさを伝えている様子が、とても慎ましく、深淵で、いたく感銘を受けるとともに、女性の所作の美しさを、称えた時代を思います。
毎日のことだからつい忘れてしまうけど、そういえば、わたしの台所も様々な音をたてていて、それがわたしという気性を奏でているのかもしれない。 この小説を読んだ後は、台所の道具や、食材たちが急に愛おしく、茶わんを重ねる手が少しだけ柔らかくなるのです。
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